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自転車による交通事故で賠償額約1億円?! 本当は恐ろしい「自転車危険運転」

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ロードレーサーのブームや自転車によるフード宅配サービスの浸透など、都市圏を中心に自転車に乗る人が増えている印象がありませんか? 自治体によっては自転車保険の義務化もはじまり、自転車を取り巻く環境も変わってきました。ここで忘れてはならないのは、自転車も車と同じ「車両扱い」ということ。過去には事故による高額な賠償事例もあるのです。こちらの記事では、自転車の危険運転のリスク、自転車保険の義務化の背景や、自転車保険の費用などについてご説明いたします。

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コラムサマリ

この記事は約6分で読めます。

  • 自転車保険加入義務化を定める自治体が増えている
  • 自転車危険事故によっては高額損害賠償金が発生することもある
  • 自転車に乗る人には万が一のリスクがあるため、保険で備えることを検討すべき

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本文

自治体も危険視している? 自転車保険義務化の自治体が増加中



2015年に兵庫県で自転車保険加入が義務化され、東京都でも2020年「東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」が改正・施行。自転車保険の加入の義務化を進めている自治体が増え、今後もこの流れは続くと思われます。

この流れの発端は、2015年に道路交通法が改正され、自転車の危険運転への対策として「自転車運転者講習制度」がスタートしたことによるところが大きいでしょう。さらに、自転車通勤をする人が増え、自転車によるデリバリーサービスの流行など街を行き交う自転車の数が増えたことも影響しているのかもしれません。

実際、2019年の自転車乗用中の事故による死傷者数※1は8万件弱、死亡者数は433人。交通事故発生件数と同じく減少傾向にあるものの、決して楽観できない状況です。亡くなった方の年齢を見ると、高齢者が圧倒的に多く、65歳以上の方が全体の約70%を占めています。自動車の交通事故と同様、高齢者の安全を守る対策が求められるでしょう。

※出典:令和元年における交通事故の発生状況/警察庁交通局

残念ながら徹底されていない、自転車の交通マナー



自転車での交通事故を減らすには何が必要か。それはやはり自転車の運転マナーへの徹底でしょう。しかし、現状を見ると、危険な運転をしている人が多く見られます。そもそも、自転車は道路交通法では軽車両に規定され、同法の定めに従わなければなりません。

違反したら、当然、罰金や罰則が科せられます。例えば、飲酒運転は自転車であっても5年以下の懲役または100万円以下の罰金、信号無視は3月以下の懲役または5万円以下の罰金、無灯火は5万円以下の罰金、そして2人乗りは2万円以下の罰金または科料と定められています。

2015年の改正道路交通法では、14歳以上の運転者が「14種の危険行為」を行った場合、3年間のうち2回摘発されると自転車運転者講習を受けなければならないと定められました。なお14種の危険行為は以下の通り。

  1. 信号無視
  2. 通行禁止場所通行
  3. 歩行者用道路徐行義務違反
  4. 歩道通行・車道の右側通行等
  5. 路側帯での歩行者通行妨害
  6. 遮断踏切立ち入り
  7. 交差点優先車妨害
  8. 右折(直進)時、左折車への通行妨害
  9. 環状交差点安全進行義務違反
  10. 一時不停止
  11. 歩道での歩行者妨害等
  12. 制動装置不備の自転車運転
  13. 酒酔い運転
  14. 安全運転義務違反


改正時のニュース等でよく報じられたブレーキを備え付けていない自転車での運転は12に当たり、傘さしやイヤホン、片手運転、2人乗り、併走、ながらスマホなどは、14の安全運転義務違反に当たります。

なお、イヤホンを片耳にすればいいとか、傘もビニール傘ならいいという声を聞くこともありますが、厳密にはしっかりと明文化されているわけではありません。

ただし、たとえ片耳でも周囲の音は確実に聴きづらくなり、ビニール傘で視界は開けていても、そもそも片手運転がルール違反なので、安全運転義務違反に該当する恐れがあり、安全上避けるべき行為でしょう。

ただ、このようにルールを定め、取り締まりを強化しても、当然、すべてを取り締まることはできず、いまだに危険行為を行っている運転者は少なからずいます。最近では、自転車のあおり運転などもあるらしく、車道の中央をわざとノロノロ走り、周囲の車に迷惑をかけている事例もあるようです。自転車は車と違い生身のため、転倒しただけでも大きなケガにつながる危険性を秘めています。自分の身を守るためにも、危険行為は絶対にしてはいけません。

自転車危険運転による事故。判例から見る3つの例

自転車での事故は、なにも自身がケガをするだけではありません。自転車同士でぶつかったり、歩行者をはねてしまったら、相手に重大なケガを負わせたり、相手が亡くなってしまうことも考えられるのです。そのような事態に陥ると、場合によっては高額の損害賠償金が発生します。では、過去に高額な損害賠償金が発生した自転車事故がどのような事故だったのかを見てみましょう。

CASE.1<神戸地方裁判決 2013年の事例>

11歳の男児が自転車走行中、車道と歩道の区別のない道路を歩いていた62歳の女性と正面衝突してしまった。女性は頭の骨を折り、意識不明の重体。裁判の結果、男児の親に9521万円の支払いが命じられた。

CASE.2<東京地方裁判決 2008年の事例>

男子高校生が自転車横断帯の手前から車道を斜めに横断し、対向車線を自転車で走っていた20代の男性と衝突。被害者の男性は言語機能の喪失などの障害が残り、損害賠償金9266万円が認められた。

CASE.3<東京地方裁判決 2007年の事例>

男性が信号無視をして猛スピードで交差点に侵入し、青信号で横断歩道をわたっていた55歳女性と衝突。女性は頭蓋骨損傷などで11日後に死亡してしまい、損害賠償金は5438万円となった。

CASE.1はニュースでも大きく報じられたので、ご存じの方も多いかもしれません。このケースの特徴としては、子どもが起こしてしまった事故でも親が責任を負わなければならないということです。また、ほかの2つの例は、加害者が危険行為を行っていたために起きてしまった事故です。自転車だからといって交通規則を守らずに危険な運転をしてしまうと、誰かの命や身体機能を奪い、自分自身の人生も台無しにしてしまう。そんな悲劇を生まないためにも、自転車の運転マナーを遵守することを心がけましょう。

自転車保険とは?かかる費用はいくら?

冒頭で紹介した自転車保険の加入義務化。住んでいる地域によっては、まだ義務づけられていないかもしれませんが、実際、高額の損害賠償金が発生している事故もあるので、義務化されている、いないに関わらずぜひとも自転車保険に入っておきたいところです。

そもそも自転車保険とは、傷害保険と個人賠償責任保険を組み合わせた保険です。自転車事故による自身のケガの補償と、自転車事故で相手にケガを負わせてしまったり、相手の所有物を壊してしまったりした時の損害賠償金を補償してくれます。補償内容には、死亡保険金や後遺障害保険金、入院保険金、手術保険金などが含まれ、損害賠償金は最高1億円まで補償してくれるものもあります。

保険の対象となる範囲はプランによって異なり、本人のみのケガを補償する「本人型」や家族全員のケガを補償する「家族型」など。保険料も自動車保険に比べれば比較的安く、月々の支払いが500円以下のものも少なくありません。またロードレーサーやピストバイクなどの高額な自転車には自転車の車両保険が付帯できるタイプもでているなど、より自分にあった補償も増えてくるでしょう。

自転車保険の義務化にかかわらず、自転車を扱う人であれば誰にとっても万が一の備えになるでしょう。この機会に自転車保険への加入をぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

この記事の執筆協力

執筆者名

All About 自動車・バイク保険 ガイド 西村 有樹(にしむら ゆうき)

執筆者プロフィール

フリーランスの立場から公正な情報を発信。大手損保、外資系や通販系保険会社とのネットワークを強みに「理解しやすい保険の記事」をモットーとしている。自動車保険、損保、証券などマネー分野での執筆、インタビュー多数。

募集文書管理番号
07E1-29A1-B20069-202012

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